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飯綱の山の恵みを頂いて作品が生まれる― 手描き友禅作家 林部貢一さん、彦太さん親子

林部さん親子は、世界でも珍しい『草木染友禅』の着物をはじめ、様々な草木染め作品を手がけています。飯綱に工房を構えて30年、新しい染色材料の開発など、常に精力的に創作活動を続けていらっしゃいます。

世界で初めての技法・草木染め友禅

写真(貢一さん)
私は元々京友禅師として作家活動をしていた父に弟子入りして、主に草木染の友禅に興味を持って、研究し始めました。飯綱高原の豊かな自然が非常に気に入って、ここに工房を構えてもう30年近くなりますね。

(彦太さん)
私は主に草木染の染を担当しています。この仕事について10年くらいですが、まだ勉強中といった状態で色々草木染の方を担当しています。

(貢一さん)
うちの父がやっていた京友禅は、全国的に有名な技法ですが、化学染料を使っています。一方、通常の草木染は友禅のように模様の中に色を付けることはできないんです。しかし、県の工業技術試験場で新しい技法を開発したことで、色と色を混ぜたり、細かく色を塗り分けることが可能になりました。これは世界で初めての技法です。

化学染料と一番違うのは、自分で全て色を作っていかなければならないこと。化学染料は、販売されている染料を溶けば使える訳ですけど、草木染の場合は色を作るまでが大変で、工程の8割はその作業になります。ほんのわずかなバランスで色が定着しなかったりする。 草木染の材料は、90%は飯綱で取れたものを使っています。

新しい染色材料を求めて

写真(貢一さん)
自然の中から色を探す中で、松代の温泉の鉄分を使って発色させる技法を開発しました。

善光寺さんの線香の灰にも注目しましてね。草木染ではよく椿の葉や藁の灰をアルカリ系の媒染として使うのですが、善光寺さんの灰も、自然の草木から作られた線香の灰ですから、葉っぱの灰と同じ効果があるのではないかと考えたんです。やってみたらアルカリ度の高い液がとれて、うまく染まったんです。善光寺のブランド品づくりの話に発展して、真綿のタオルやマフラーを商品化しました。

この辺でよく採れる熊笹でも染めています。熊笹の葉を煮出すと、きれいなブルー系の色が出るんです。
熊笹の“おやき”も開発しましてね。熊笹は身体にも良くて、昔から薬草とされていた。そこで葉っぱを粉末にして、おやきの皮に入れてみたんです。熊笹の甘みのある香りがしておいしいんですよ。飯綱の山の恵みを頂く、という発想です。
熊笹が飯縄高原のブランドになればいいな、と思っています。

飯綱は静かで落ち着ける場所

(貢一さん)
飯綱で創作活動を始めて30年になりますが、散歩をしていても落ち着くといいますか、癒されるんですね。飯縄山は見た目も安定感があって落ち着きますし、自然が守られていて、静かですよね。俗化されていないし、荒れていない。大谷地湿原も自然を守りながら整備されていて散歩するのに非常にいい場所だと思います。

(彦太さん)
自然のいろんな姿が見られる。大座法師池があって湿原があって、ちょっといけば森があって。自然に触れる機会が多いのはこの辺の特徴だと思いますね。

(2011年12月17日)

写真■ 体験工房 ふれ藍草木夢工房

工房の一角を、ショップ(作品の展示販売)と軽喫茶のスペースにしています。草木染、陶芸、トンボ玉の体験教室も行っています。
〒380-0888 長野市上ケ屋2471-2508
TEL. 090-5787-4820
不定時/不定休ですので、お出かけの際はお電話いただくと確実です。
>>体験工房 ふれ藍草木夢工房ウェブサイト

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